先日、東京都動物愛護センター主催の研修会に参加してきました。
その際、北里大学獣医学部動物行動学研究室の入交真己先生から「動物の問題行動について」という
講演があり、私たちも、過去のわからない保護犬を預かるとき、問題行動に頭を悩ませることがありますが、
犬の出しているサインを読み取ることで、問題を改善できるヒントが得られたらと思い、興味深く聴講してきました。
なにかのお役に立つかもしれないので、講演の内容を少しご紹介したいと思います。
犬の気持ちは、姿勢、尾の位置、耳の位置から読み取ります。
下の図で、一番うえがニュートラルなときの姿勢。
左が優位 右が劣位のときの姿勢です
これはみなさんよくご存知だと思います。
ではウーっと唸る時の、顔。
左のように、耳をたて、歯を見せずにウーっと唸る顔と、
右のように、耳を伏せて、歯をたくさんイーっと見せてウーっとうなる顔
どう違うかわかりますか?
左の、歯を見せずにうなっているときは、優位なときのいわゆる「ヤバイ」ウー。
この顔をしているときは近づいちゃいけません。
歯をたくさん見せている方は、犬自身が怖がって不安なときのウー。
すいません、ぼく怖いんです!来ないで〜っていう表情。
なので、このように歯をたくさん見せてウーっとうなる犬に「何をやってるんだ」と怒ると、パニックをおこしてガブッとかみつく行為になってしまいます。
ちなみに菜々は息子が一番コワい人なので、彼がわざと無表情でなでると、この顔になります汗
今まで、自ら寄って行くくせにどうしてこの顔をするのかふしぎでしたが、講演をきいて、まさにこの、不安なときの顔だと確信しました。
これまで彼にたくさん叱られているので、怒られちゃうんじゃないかと不安になるようです。
犬が不安な時に取る行動は様々あります
人が緊張したときに、髪の毛をいじったり、顔に手をやったり、落ち着かない行動をとるのと同じだそうです。そういう人いますよね〜
*パンティング・・・ハアハアしていること
*葛藤行動・・・わけのわからない不思議な第3の行動で、どうしてよいかわけがわからなくなって、その場にまったく関係のない行動をとること。
言葉の話せない犬とコミュニケーションをとるためには、人間が彼らのボディーランゲージを読み取る必要があるんですね。
よく、飼い主が犬の順位より下になっているから問題がでてくる、という考えの人もいますが、
入交先生の考えでは、そういうことはないそうです。
では、解決策はどうしたらいいのでしょう?
物や知らない人を怖がる犬の場合は、それが、いい物、いい人だと学習させるため、
おやつを使って、優しくゆっくりアプローチするのだそうです。
おやつのあげかたは、最初は自動販売機のように、できるたびにあげて、できるようになったら、
3回に1回、5回に1回と、次、もしかしたらもらえるかな?という風に回数を減らしていくそうです。
吠えの問題についてもお話がありました。
不安や警戒、または吠えたら相手を追い払えたと学習、吠えたら飼い主にだきあげてもらえると学習したことが理由となっているようです。
なので、やはりこれもおやつを使って、吠えそうになったら、(ハウスと言ってハウスに行かせるとか、スワレなど)なにかお仕事を与えることで、改善することができるそうです。
罰するということについても興味深いお話がありました。
悪いことをした場合のルールは
1、何が悪いか伝えて行動を止める
2、その行動の代わりに、何をすべきた教える。たとえば、マテとかスワレ
3、代わりにすべき行動を強化して、できたら褒める
そして、これには、ヘーと思ったのですが
引っ張りについては、2歳児が、お母さんはやく、はやく!と手をひっぱるのと同じだと笑
犬のなかには、小さい時にきちんと犬同士のコミュニケーションを学ぶ機会がないまま育ち
犬同士の会話ができない子もいるそうです。
なので、やっぱり生後数ヶ月は親元できちんと犬語を学んだり、パピーのころはたくさんの犬と触れ合う必要があります。
問題行動があったとき、その影に病気が潜んでいることも多いそうなので、改善されないときは
ぜひ獣医さんに診てもらってくださいとのことでした。
しつけに関しては、トレーナーさんによってやり方が色々あると思うので、これはひとつの情報として
受け止めて頂ければと思いますが、行動学については、教えていただいたことで、再確認したり、
初めてわかったこともあって、勉強になりました。
いかかでしょう、なにか参考になったでしょうか?